最終更新日 2023年5月12日 by plexus
私は高校を卒業して今の仕事に就くまでにバイトとして便利屋をやっていたことがあります。
元々人見知りで特別なスキルも持っていなかったため、就職先が見つからないまま卒業することになりました。
最初は結婚でもして専業主婦になれば食うに困らないと考えていましたが、現実は甘くありません。
生きていくためには仕事をする必要があり、そこで選んだのが便利屋です。
メジャーな求人誌にはコンビニやパチンコ屋での接客業や工場での作業くらいしかありませんでした。
どれも私には向いていないので応募すらしませんでした。
自分にできそうな仕事はこの世には無いのかと絶望しかけていましたが、インターネットの求人を探すと便利屋のバイトを応募しているものがいくつか見つかりました。
ほとんどが大都市を拠点にしていましたが、1箇所だけ自分が住んでいる地域の求人があり興味を持ちました。
いわゆる雑用を請け負う仕事だと知り、雑用だったら資格がなくても雇ってもらえるとホッとしたのを覚えています。
さっそくインターネットから応募して面接まで受けることにしました。
面接では働いてお金を稼ぎたいという気持ちや若さをアピールしました。
バイトの面接を受けたのは初めてだったので、イマイチ面接官に気に入られるやり取りができたのか分かりませんでしたが、今になって振り返ればバイトの面接はそれほど肩肘張って受けるものではなかったと思います。
かしこまった雰囲気ではなく、一時的に事務所の一室を面接用に使ったような感じで、一応人となりを確かめるといった程度のものでした。
中規模の事務所で面接を担当してくれたのは人事に関係ある人と、後に先輩となる人でした。
主に仕事内容について教えてくれたのは先輩の方で、男性は力仕事、女性は清掃が主だと知りました。
私は女で体力はありませんでしたが、掃除くらいは丁寧にすることで満足してもらえると思っていました。
面接を受けて1週間も経たないうちに、電話に連絡が入り翌月から出勤することが決定しました。
初めての仕事で非常に緊張しましたが、接客業のような研修もなかったので精神的には楽でした。
基本的に業務中はお客様と顔を合わせることはありませんでした。
私が掃除をしている時は外出していて、マイペースに進めることができました。
自宅には現金や通帳など貴重品がありますが、ほとんどのお客様は何もしないで出かけます。
中には貴重品を金庫にしまった痕跡がある家庭もありましたが、常連さんたちとの信頼関係が築けていました。
バイトの私がそれを壊してしまっては台無しなので、金品を盗まないことはもちろん、家具や装飾品などを大切に扱って作業することを意識しました。
家の中の作業はプライバシーが詰まっているので、男性よりも女性の方が頼みやすかったと思います。
あるお客様は私を孫のように可愛がってくれて、掃除に来るたびにお茶菓子を用意してくれました。
普段はお客様が出て行くと自分一人の時間になって心が軽くなりましたが、私に来て欲しいと言ってくれるお客様に対しては一緒にいてくれた方が仕事へのやりがいも感じられて嬉しかったです。
お茶を飲む時は世間話などもしますが、飲食店などでお客様と接するのとは違いとても充実した時間を過ごせました。
時給は750円ほどでしたが、仕事をもらえる喜びを噛み締めながら出勤していました。
バイトの給料は正社員と比べると安くて労働に見合っていないことも多いですが、高校を卒業して仕事がなかった時の虚しさを埋めてくれました。
便利屋になりたいと考えている人は運転免許を持っていると良いと思います。
私が面接で聞かれたことに運転免許の有無が含まれていました。
高校を卒業する前に友人たちと一緒に自動車学校に通い免許を取得していたので、事務所の車でお客様の家を訪ねることができました。
車を運転できないと、公共の交通機関に向かうことになり、交通費を計算するのが面倒になると思います。
経理のことは全く分かりませんでしたが、社用車が使えると便利だと先輩が言っていたのを覚えています。
私は1回か2回くらいしかやったことがありませんが、便利屋は不用品を回収する業務も行っています。
リサイクル業者の下請けとして、軽トラックで地域を巡回し不用品を集めます。
家庭から出る粗大ゴミは重たくて女性の力では持ち上げることができません。
私は軽トラックを運転するだけで、助手席に乗っていた同僚の男性が運んでいました。
本来は運転も男性が行いますが、人手が足りなくて私が運転しました。
もし運転免許を持っていなければ力も無いから不用品回収には連れて行けない役立たずと思われた可能性があります。
バイトも含めて従業員はそれほど多くなかったので、このようなトラブルを防げたことはバイトが続いた要因の一つです。
現在は正社員として別の業種に勤めていますが、便利屋時代に培った自分にもできることがあるという自信は私を強くしてくれます。
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