ホールディングスのメリットデメリットとは

最終更新日 2023年5月12日 by plexus

①ホールディングスのメリットやデメリットとは

最近ホールディングスという言葉をよく聞きますが何のことかわかりますか。

ホールディングスは、持ち株会社制度のことを言うのです。

つまり大元の会社が代株主になって、傘下の会社の経営や管理を行っていくというシステムのことをいいます。

大元の会社の事を「持ち株会社」といい、所有する会社の株式の配当が収入源になってきます。

昔は「本社」が組織を統合して、各部門ごとに「本部」「課」などを位置していましたが、分社化が進んで独立して会社にしたほうが効率的で組織としても動きやすさが必要になってきました。

そのため持ち株会社という形態がとられるようになったのです。

日本におけるホールディングススの歴史は古く、戦前勃興した財閥系の会社のほとんどが持ち株会社制度をとっていました。

GHQによる財閥解体によりほとんどの会社は解体し、ホールディングスを作ることは独占禁止法で禁じられてきました。

1997年の金融ビッグバンを契機に独占禁止法が改定され再度解禁されることになったのです。

②持ち株会社を形成するメリットは、意思決定の迅速化にある

持ち株会社を形成するメリットは、何と言っても意思決定の迅速化にあります。

傘下の企業に個々の事業を任せたうえでグループ全体の意思決定に特化することで経営の迅速化が図れ効率的な会社運営ができます。

また組織を統括するうえで権限と責任の明確化を徹底できます。

独立採算経営をすることで「自然界の掟を導入し、自分たちで本能的に生きることを学べる」という人もいます。

それだけ現代社会では、組織運営の明確化が必要になっているのです。

ホールディングスを形成するとそれぞれの会社は独自に事業を営むことになります。

例えば持ち株会社の元に事業会社が5つあり、このうちの1社が莫大な損失を出したとします。

この場合には持ち株会社とその事業会社は影響をうけることになりますが他の4つの事業会社への影響はうけずに済みます。

仮に対象会社だけを売却すれば他の4つの事業会社を守ることもできるのです。

リスクの分散化をはかるためには持ち株会社制度は適しています。

事業会社である限り全く違う事業を行っていればその会社にあった人材採用や人事制度をしていくことが必要になります。

たとえば、全く社風が違うのに、持ち株会社で一括採用をしてしまうとミスマッチが生じることにもなってしまいす。

採用が不効率化してしまうのです。

③権限の委譲を行うことで独自の人事制度を確立できるメリットがある

権限の委譲を行うことで独自の人事制度を確立できるメリットがあります。

持ち株会社の元に事業会社をぶらさげることで、外部による事業会社の買収は実質的に不可能になります。

またそれぞれの事業会社ごとに決算を行うことで、売却を行う時もデューデリジェンスが行いやすく比較的容易に相手方との交渉をすすめることができます。

持ち株会社は、子会社からの受取配当金についてその全額を不算入扱いにすることが可能です。

また、交際費も年間800万円までの損金算入をそれぞれの事業会社が計上することが可能になるので経理面でも恩恵があります。

一方でホールディングス化にはデメリットも存在します。

④最大の欠点は、事業会社が都合の悪い情報を親会社に隠す可能性があること

その最大の欠点は、事業会社が都合の悪い情報を親会社に隠す可能性があることです。

いいところとして機能する独立採算制度が、かえって自己裁量が認められたことです。

一方で事業会社の株は、持ち株会社に握られているわけですからお伺いを持ち株会社にあげることも必要です。

このため自己完結できる組織では、都合の悪い情報は隠すようになることがよくあります。

事業会社間では、事業内容はもちろん社風・考え方にも多様性が生じてくるのは当然です。

このため持ち株会社がくだす決定が一方の事業会社には良い判断でも、他の会社にとっては悪い判断となる場合が出てきます。

こうなると事業会社間の対立が生まれる要素が出てきます。

せっかく情報を共有して一体になって運営をめざす制度が、相手方に情報を流さない自己主義的な考え方に陥ることも考えられます。

そうなると持ち株会社を設立している意味合いがなくなってしまうのです。

⑤会社間で部門等が重複して組織自体が膨れ上がる危険性がある

会社間で部門等が重複して組織自体が膨れ上がる危険性があります。

部門の重複はコストアップをもたらします。

組織のなかに専門分野の会社を作ってそのような業務を外部委託するようなスリム化を図っていかないと事業会社の組織は膨れ上がってその傘下に会社を持つようになってしまいます。

事業会社は、自己完結である組織である必要はありますが独立性そのものを検討する事態に発展することもあります。

銀行などの持ち株会社では傘下の銀行は、合理化を迫られることになりました。

重複する無駄な作業をどのように統合効果で減らしていけるかが持ち株会社が存続していくうえで重要になっていきます。

外資によるM&Aが普通に行われるようになってきました。

企業防衛の意味合いでこの制度はますます採用する企業が多くなってきています。

メリット・デメリットをよく検証して最も受け入れやすい組織として機能していくことが望まれます。

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