最終更新日 2023年5月12日 by plexus
賃貸物件を経営していて、入居者が家賃滞納をした場合には、どのような方法を採ればいいのでしょうか。
もちろん家賃滞納といっても、収入が少なくなったなどで払えないケースもありますし、たまたま忘れていたとか、本人は払っていると思い込んでいたという場合もあります。
そのような場合は、入居者本人、あるいは連帯保証人に連絡して、今後のことを相談するようにしましょう。
しかし中には悪質な入居者もいて、意図的に滞納していることもあります。
こういった場合は、入居者本人も不在がちであったり、あるいは行方をくらませたりしていることも多いため、内容証明郵便を送付するという方法もあります。
郵便には必ず、家賃支払いの督促と、支払わない場合の契約解除を記載しておきましょう。
しかしそれでも反応がない時は、法的手段に訴えることをお勧めします。
法的手段に訴える場合は、まず弁護士に相談して、明け渡し業務を代行してもらいます。
この明け渡し業務というのは、まず内容証明郵便を発送し、滞納分の家賃を支払うように催告します。
一定期間内に入金があった場合は、それで一応は解決されたことになります。
逆に、それでも入金がなかった場合は契約解除となり、占有移転禁止の処分が行われることになります。
この占有移転禁止の処分というのは、占有者、つまり家賃滞納の当事者である入居者が、今もその部屋を借りている条件のもと、強制執行をしやすくするための方法です。
もし当事者である入居者がおらず、他の入居者が既に入っていたような場合は、この占有移転禁止の処分ができませんので、すべてをやり直さなければならなくなります。
このようなケースの場合は、例外的に占有者を特定せずに仮処分をすることが可能になっています。
無論この場合には、なぜ特定できないかを示す証拠が必要になります。
その後は占有者を被告として、明け渡し請求訴訟を行うことになります。
明け渡し訴訟はよほどのことがない限り、1階で終わることが多く、その後占有者に解除通知が送付されます。
この後は、和解によって物件が明け渡されることもありますが、それでも占有者が、いわば居座るケースもあります。
そのような場合は、強制執行に踏み切ることになります。
最初は催告のみですが、2回目になると、実際に家財道具などを搬出するため、占有者は居住できなくなってしまいます。
家賃滞納は、大家さんが言うだけでは法的効力がありませんので、入金がない場合のことを考えて、この手の問題に弁護士をチェックしておくといいでしょう。
特に家賃が入らないと、収入、あるいはローン返済に影響が出ることにもなりますし、手続きにかかる費用も、ままならなくなることもあるからです。
もし入居者の入金が滞っていて、しかも本人からそれに対して言及されないような場合は、速やかに弁護士に相談するのが一番いい方法です。
もちろん弁護士に依頼すると、事務所にもよりますが、それなりの額の費用が発生します。
ですから、自分で知識を身につけて、裁判所と交渉するという方法もあります。
ただしそれにも時間がかかること、あるいは、家賃滞納期間中は、収入がないことを考えると、やはりプロである弁護士にお金を払ってまかせた方が、スムーズに解決できるというメリットがあります。
家賃滞納を防ぐには、やはり不動産会社や仲介会社に協力してもらって、審査を厳しくするといいでしょう。
また、収入が安定しないとか、収入が少ないという人の場合は、あらかじめ何か月分かを払ってもらうという方法もあります。
また、大家さんがいる物件であっても、賃貸保証会社をつけた物件にすると、入居時に審査が行われますので、その意味では安心といえます。
■家賃滞納問題を弁護士に依頼する
不動産賃貸は、専業の場合はもとより、今ではサラリーマンの副業としての利用もあらわれてきているなど、資産形成の手段としてはポピュラーなものです。
しかし、事業である以上は、いくつのリスクについても考慮しなければならず、その最たる例が、入居者による家賃滞納です。
せっかく購入した物件に入居者が集まらず、空室になるリスクよりも、多少の家賃滞納はあっても、むしろ入居者がいたほうが好ましいとする考えもありますが、実際には簡単なことではありません。
家賃滞納があれば、その物件からの収入は当然ないにもかかわらず、固定資産税の賦課や建物の維持管理、修繕などの費用はオーナーとして負担しなければならず、賃貸業務を続けるだけ経済的に困難な状態になってしまいます。
また、家賃を契約どおりに支払うことができない入居者は、通常の生活そのものが破綻していることがあります。
その物件の使用をめぐって近隣からの苦情やトラブルが発生したり、場合によっては近隣の入居者の退去という事態をもたらすこともあり、空室リスクにも波及する可能性は考慮すべきです。
このような場合、オーナー自身でできることの限界を理解して、速やかに法律問題のプロである弁護士などに相談をして、専門的な観点からのアドバイスを受けるのが適切です。
家賃滞納があった場合、内容証明郵便などによる督促から始まるのが一般的ですが、この段階から弁護士に依頼をして、その名前をもって督促をする手段が使えます。
まずは法律事務所にアポイントメントをとり、指定の日時に弁護士による法律相談を受けて、具体的に何が法律上のポイントとなるのか、解決のための方法や道筋としてはどのようなものが想定されるか、などの点について確認します。
弁護士はあらゆる法律上の争訟やその代理などを取り扱うことができますが、専門分野、得意分野があることも確かですので、不動産問題に詳しく、経験のあるところに相談をするのが最適です。
法律事務所から督促する場合ですが、通常は一定の猶予期間を設けて滞納している家賃を支払うように催告し、もしも支払いがなければ、これを原因として不動産賃貸借契約を解除することになります。
単なる督促だけでは入居者が態度を改めず、結果として家賃の支払いがない場合には、最終的には裁判によって問題の解決を図る方法となります。
裁判による場合には、やはりオーナーが自力ですべての手続きを行うことは困難なため、弁護士に正式な依頼をして、受任契約を結ぶようにする必要があります。
その際、入居者と取り交わした不動産賃貸契約書や、これまでの入金の記録、督促をした記録などを、証拠となる資料として手元に集めておくと、実際の裁判もスムーズに進みます。
ただし、注意しなければならないのは、入居者に支払い能力がまったくない場合で、これは自己破産などの原因としても認められるレベルにあたることから、債権回収よりも、むしろ退去のほうを優先することが適当です。
速やかに他の入居希望者を募集し、収入がない状態を解消したほうが、結果としては経営の立て直しに役立ちます。
この場合、滞納者は契約が解除されたのに不法に物件に居座っている、いわゆる占有者となりますので、ただちに明け渡し請求訴訟を提起し、裁判所の判決を求めます。
判決が確定した場合には、法律にもとづく強制執行の手続きが行われ、これまでの滞納者が強制的に物件から排除されるのはもちろん、私物にあたる荷物の搬出なども行われます。
いずれにしても、ここまでの手続きを行うのであれば、相当の法律上の知識が必要になりますが、法律にもとづかないで勝手に滞納者の私物を処分するなどした場合には、逆にオーナーが法律上の責任を問われかねないことがあります。
そのため、法律問題に精通した弁護士の関与は不可欠であり、一刻も早く法律相談を受けることが、問題解決への第一歩となります。
■家賃滞納に関する弁護士費用とは
数か月間も家賃滞納ということがあれば、それだけでかなりの額になってしまいます。
しかも、大家さん自らが何かしらのアクションを起こすと下手をすればこちらに非が生じてしまい、最終的に家賃の回収ができなくなる問題に直結し、悔やんでも悔やみきれないことになる可能性も生じることから、家賃滞納に関する問題では弁護士に相談をし、適切な対処を取ってもらうのがベストであると言えます。
(参考:家賃滞納 弁護士 費用より)
しかし、どれくらいの費用がかかるのか、いくらぐらいからであれば元が取れるのか、そのあたりの部分は相談する前に知っておきたいところです。
まずは弁護士に対する相談料ですが、たいていの場合は30分5000円が相場となります。
ただ、初回の相談料を無料に設定しているところもあるため、そうしたところでまずは話を聞いてもらうというのがおすすめです。
30分で一通りの相談をするのは意外と大変であるため、自治体などで行っている法律相談でまずは話を聞いてもらい、そこである程度まとめておくというのもやり方としてあります。
いずれにしても、話をまとめておかないと必要以上に相談料がかかる、もしくは満足のいく相談をすることができなくなるため、注意が必要です。
次に、着手金ですが、これは毎月の家賃に応じて変化するとされています。
家賃が10万円程度のところであれば10万円から40万円とかなり幅の広い状況となっており、滞納している月日によっても変化することとなります。
また、完全成功報酬制を採用している弁護士事務所であれば、着手金を必要としないところもあるなど、事務所によって着手金に関する部分は大きくバラけます。
成功報酬に関しても、事務所間で大きな差があります。
回収できた家賃の10%前後というのが対象となりますが、例えば完全成功報酬制をやっているところであれば、この部分のパーセンテージがかなり上がることも考えられます。
着手金と成功報酬をセットにした方が安くなるのか、それとも完全成功報酬制を採用しているところが安いのか、その部分をしっかりと見ておく必要があります。
そして、家賃滞納分を回収したとしても逆にマイナスになるようなことはないのか、そのあたりを確認しなければなりません。
仮に家賃10万円の賃貸アパートにおいて、半年間の家賃滞納があった場合、相場の安いところでもだいたい20万円、高いところだと50万円程度はかかることになります。
完全成功報酬制だったとしても少なくとも回収分の4割程度は必要となり、場合によってはこちらの方が高くつく場合もあります。
ただ、値段ではなく、とにかく出て行ってもらい、新しい人に来てもらいたいということであれば、金額にこだわる必要はなく、毅然とした対応をしてくれるであろう事務所にお任せするというのもやり方としては正しいと言えます。
大家さんの中にはなかなか弁護士費用を支払えないという人もいます。
そうした場合には法テラス制度を使い、費用の立て替えをしてもらうことが可能です。
法テラス制度であれば、相談料に関しても無料であり、分割で返済をしていくことになります。
最初に支払ってもらい、ちゃんとした入居者に入ってもらい、その賃料で返済をしていくというのでも十分可能であるため、安心して家賃滞納に関する対処をしてもらうことができます。
弁護士費用は意外とかかりますが、いつまでも家賃滞納をめぐるトラブルを引きずり、ほかの部分に影響を与えるのだけは避けたいところです。
穏便に解決するためにも、いち早く弁護士に相談を行い、今の状況を早急に改善し、質のいい入居者に入ってもらい、安定した収入を再び得ることのできるようにしていければベストです。